コラム

高齢者や障害者の歯の健康を守る!訪問歯科の現状とは
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歯の健康を担う歯医者さんですが、治療を受ける場合には、ほとんどの人が足を運んで検査や治療を受けていると思います。しかし最近では、自宅に歯科診療に来てくれる訪問歯科というサービスも増えているようです。

ここでは、訪問歯科がどんなサービスなのか、どうすれば訪問歯科を受けられるのかなど、訪問歯科の基礎知識に触れていきます。高齢者や障害者など、在宅介護が必要な方は、なかなか歯医者さんに通うことができない方も多いことでしょう。要介護者の方にも、その家族の方にも、ぜひ知っていただきたいサービスです。

1.訪問歯科を受けると、どんないいことがあるの?

訪問歯科という言葉を聞いたことがない方のために、ここでは訪問歯科の基礎知識についてご紹介していきます。今、広がりを見せている訪問歯科のサービスやメリットには、どんなものがあるのでしょうか。

1-1 訪問歯科診療とはどんなサービスなのか

訪問歯科診療とは、歯医者さんが往診して診療をしてくれるサービスのことです。訪問歯科診療を受ける患者さんは、歯医者さんを受診できない自宅介護を受けている人などが中心です。

訪問歯科診療で実際に患者さんのお宅へ訪問するのは、歯科医師や歯科衛生士です。訪問歯科診療では、まずは検診をし、検査をしてから治療や口腔ケアを行います。場合によっては、1回目の訪問で歯科衛生士が検診をし、2回目以降から必要な治療に入る診療システムをとっているところもあります。

治療の内容としては、虫歯治療や歯周病などの治療を中心に、完治まで診療してくれます。また、虫歯は一度治っても再度発症することがあるため、定期的な検診なども実施してくれます。

◆往診を依頼する方法

初めて訪問歯科診療を依頼する場合には、日本訪問歯科協会のコールセンターに電話します。口腔内の状況や住所、連絡先等を伝えると、近隣の協会加盟の歯医者さんから、訪問日時の連絡が入ります。診療当日は、歯医者さんが歯科機材などを持ち込んで、自宅で治療をしてくれます。

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1-2.訪問歯科が求められるようになった背景

在宅介護の中で訪問歯科診療が求められるようになった背景には、口腔内の衛生が健康に大きく影響することが挙げられます。あまり知られていませんが、口腔内が不衛生だと、その他の病気を引き起こす原因にもなります。

例えば、高齢者に多い誤嚥性肺炎は、食べカスや口腔内にある細菌が気管に入ることが原因で起こります。口腔内が清潔であれば、誤嚥性肺炎のリスクを抑えることができるため、介護では口腔ケアがとても大切なのです。

介護を受ける高齢者や障害者などの場合、抵抗力も低いため、特に口腔ケアが重要になります。自分では口腔ケアが行えないことが多く、家族などの身近な介護者だけでは、十分な口腔ケアが行えるとも限りません。そのため、介護の上でも、訪問歯科は重要な役割を担っているのです。

1-3 訪問歯科の現状

口腔内に問題を抱えていても、一緒に付き添ってくれる家族がいないなどの理由で、歯医者さんを受診できない高齢者や障害者は多いです。家族がいても、車の運転ができないなどの理由で、歯医者さんまで行けない人もいます。

要介護者の約74%は、歯科治療が必要である状況にあります。しかし、その中で実際に歯医者さんに診てもらったのは約27%で、半分以上もの要介護者が、適切な歯の治療を行えていないことになります。

◆ニーズは増加、訪問歯科は不足

歯科治療が必要な患者さんの数は増えているのにもかかわらず、訪問歯科を行う歯医者さんの数はまだまだ不足しています。

また、訪問歯科の実施割合には地域差もみられ、中には訪問歯科を実施している歯医者さんが20%以下しかない都道府県もあります。高齢者や障害者はどの都道府県にも暮らしている事を考えると、実施割合にばらつきがあることも気になります。

2.訪問歯科がもたらすメリットとは

ここでは改めて、訪問歯科がもたらすメリットをまとめていきます。

2-1歯の健康は毎日の快適さに関係する

歯が痛いなどの状況になると、我慢できない人がほとんどではないでしょうか。旅先で歯ブラシを忘れてしまったら、多くの人がどこかで買おうとします。それほど、口腔内が快適で健康であることは、私たちの毎日の快適さに関係する重要な事なのです。

不快な状態のままだと、人は心から楽しく笑うことはできません。口腔内が不快だと、笑うことや話すこと、食べることなどに支障が出てきます。

高齢者や障害者などの要介護者も同じで、口の中がスッキリしなければ、不快さを感じます。訪問歯科があり、歯の健康や快適さが保たれれば、毎日の生活も快適なものになるはずです。

2-2発熱や肺炎発症率も高い

日本医学会誌に掲載された「肺炎予防効果に関する研究」の調査結果によると、口腔ケアをしている人としていない人では、肺炎発症率や発熱発生率に差があることがわかりました。

発熱・誤嚥製肺炎予防 発熱・誤嚥製肺炎予防 2

参照元:http://www.dentalsupport.co.jp/business/visit-dental.html

誤嚥性肺炎については先にも述べましたが、こういった医学調査によっても、口腔ケアの重要性はわかっていただけると思います。

2-3認知症とも関連がある

他にも、歯が20本以上残っている人と残っていない人を比べた神奈川歯科大学の調査でも、認知症発症率に違いが表れています。20本以上の歯が残っている人に比べると、ほとんど歯がない状態で入れ歯などを使用していない人の場合、認知症発症リスクは約1.9倍もあります。

残存歯数と認知症の関係残存歯数と認知症の関係 2 残存歯数と認知症の関係 3

参照元:http://www.dentalsupport.co.jp/business/visit-dental.html

残っている自分の歯の本数を残存歯数といいますが、残存本数をより多く保つには、きちんと口腔ケアをすることが大切です。歯に不調があればすぐに歯医者さんに通う、在宅介護になっても訪問歯科診療などを利用すれば、歯の健康を保つだけでなく、全身の健康を保つことができるかもしれません。

3.訪問歯科のデメリットとは

次は、訪問歯科診療を受けるデメリットについて触れていきます。訪問歯科を利用すれば、健康を保つことにはプラスになることばかりですが、注意点もあるので確認しておきましょう。

3-1 誰でも訪問歯科が受けられるわけではない

訪問歯科を行う医師が不足していることにも触れましたが、実は、訪問する範囲が決められているのにも注意が必要です。訪問歯科が受けられるのは、訪問歯科を実施する歯医者さんから16km以内に自宅や病院、施設がある場合に限ります。

自宅や病院、施設が16km以内にない場合には、訪問歯科診療を依頼することができませんので注意してください。

3-2治療費がかかる

訪問歯科を受けるには治療費がかかります。健康維持の面ではメリットのある訪問歯科ですが、治療費がかかる点は、デメリットに感じる人もいるかもしれません。

例えば、自宅で訪問歯科診療を受けた場合、1回の料金構成は以下のようになります。

・検査治療費(内容によって変わる)

・歯科訪問診療料 (〜1,000円程度)

・指導料 (〜500円程度)

検査治療費は、診療を受ける人の口腔内の状況によって変わります。部分入れ歯であれば数千円程度で済む場合もありますが、総入れ歯にすれば、1万5000円程度かかってしまう可能性もあります。

指導料については、歯科医師が実施するか、歯科衛生士が実施するかで料金が変動する場合があります。歯科医師の場合は割高になりますが、自宅に訪問しての歯科診療の場合は介護保険が適用となり、1割の負担で済みます。

3-3 訪問歯科の医療費負担割合

デメリットに治療費がかかることを挙げましたが、訪問歯科についても、一般の歯科診療同様に保険が適用されます。保険適用内の治療を受ける場合の保険適用割合については以下のとおりです。

・国民保険 3割負担

・社会保険 3割負担

・老人保健 1割負担

・障害者手帳を持っていると、各条件に合わせて医療費負担

・介護保険(在宅での口腔ケア) 1〜2割負担

介護保険の場合は、1ヶ月4回まで利用可能です。生活保護を受給している場合は、原則無料で診療を受けられます。

ここで注意したいのは、自由診療を受ける場合には全額負担となることです。また、すべての治療が訪問歯科で受けられるわけではありませんので、詳しい治療費や治療内容については、依頼する歯医者さんに尋ねておくといいでしょう。

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4まとめ

先に述べたように、今現在は訪問歯科を実施する歯医者さんが不足しています。しかし、平成24年の診療報酬改定によって訪問歯科の診療点数増が決まり、これを機に、だんだんと訪問歯科を新設する歯医者さんが増えるかもしれません。

要介護者など、在宅で歯科診療が受けられる訪問歯科は、健康を保つ点でのメリットがたくさんあります。利用できる歯医者さんが全国で増えていけば、要介護者である高齢者や障害者もより健康で快適な毎日を過ごせるようになります。

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