思っているより意外とかかる!歯医者の治療にかかる時間

    思っているより意外とかかる!歯医者の治療にかかる時間

    歯医者さんは時間がかかるというイメージを持っている人は少なくありません。実際に、虫歯の治療が一度で済むことはまずなく、数回通院が必要になるのが普通です。歯の治療はなぜ何度も通わなくてはならないのでしょうか。

    また、一回の治療も比較的長いのはどうしてなのでしょうか。治療にどのくらい時間がかかるかは虫歯の程度によって異なります。軽度・中度・重度の虫歯では何回くらいの通院が必要で、一回あたりどのくらいの時間がかかるのか知っておきましょう。

    この記事の目次

    1.虫歯治療にかかる時間の目安

    虫歯治療は虫歯の程度によってかかる時間が異なります。軽度・中度・ 重度の虫歯について、それぞれどのくらいの治療時間がかかるのか知っておきましょう。完治するまでにトータルでかかる時間は、一回の通院でかかる時間と治療回数をかけたものになりますので、この二つに分けてまとめます。

    1-1.軽度の虫歯

    ・一回の治療時間の目安

    CO(ごく初期の虫歯)の治療は、ブラッシング指導やフッ素塗布を行います。C1(虫歯がエナメル質に達している)の治療は、虫歯部分を取り除き、削った箇所に詰め物を詰める治療をします。一回あたりの治療にかかる時間は、COでは15分〜30分、C1だと20分〜30分程度です。

    ・完治までの期間の目安

    C1虫歯の場合だと、1〜2回の通院が必要となります。

    1-2.中度の虫歯

    ・一回の治療時間の目安

    C2(虫歯が象牙質に達している)の治療は、場合によっては麻酔を使って虫歯部分を除去し、削った箇所に詰め物を詰めます。一回あたりの治療にかかる時間は、C2では30分~となります。

    ・完治までの期間の目安

    C2虫歯では、治療に2〜3回の通院になります。

    1-3.重度の虫歯

    ・一回の治療時間の目安

    C3(虫歯が歯髄に達している)の治療は、歯の神経をきれいにする根管治療を行ったあと、歯全体にクラウンを被せる治療を行います。また、C4(歯槽骨まで虫歯菌が達している)で歯を残せない場合は、抜歯をして、入れ歯、ブリッジ、インプラントなどを行うことになります。一回あたりの治療にかかる時間は、C3でもC4でも20分〜30分程度です。

    ・完治までの期間の目安

    C3虫歯の場合は、4〜5回の通院をします。 C4虫歯の場合は通常4回以上はかかるもの、と考えておきましょう。

    2.なぜ歯医者さんは時間がかかるのか

    歯医者さんでの治療に時間がかかる理由はいくつかあります。現実的な理由がほとんどで、一般的に次のような理由があります。もちろん、歯医者さんによって方針や考え方はそれぞれ違います。

    2-1.一回の治療時間が短い理由

    ・レセプト(診療報酬)の上限がある

    一日に何点までという診療方針が決まっているので、一回に何でも行うことができないケースがあります。

    ・予約を取りにくくしないための工夫

    一人の患者さんに何分も使ってしまうと、予約がとりにくくなり患者さんの不便、不満にもつながります。

    ・医師が何もしないで待つことにならないようにするため

    長時間予約がキャンセルになった場合、その時間、担当医は、何もしないで待つことになってしまうからです。

    2-2.治療回数が多い理由

    ・段階を踏んだ治療が必要

    虫歯治療は一足飛びにはできません。虫歯が進行しているほど、上記のように段階を踏んでいろいろな治療を行わなければならず、一回にすべてを終えることができません。たとえば、レントゲンを撮って治療方針を決める、削る、詰め物の型を取る、詰め物を入れる、フッ素塗布するといった過程があり、型取りと詰める作業は通常別々の日に行います。

    ・時間がかかるものも多い

    補綴物などは歯科技工士に外注するので、制作に一定の時間を要します。その間に歯の様子を経過観察する必要もあり、一回で済ませるわけにはいきません。

    3.歯医者さんに上手にかかるには

    歯医者さんに上手にかかるには、いくつかチェックポイントがあります。単に時間短縮を考えるのではなく、自分に合ったよい歯医者さんに通うことが大事です。

    3-1.良い歯医者さんの見極め方

    ・なるべく歯を残すような治療をしてくれる

    深い虫歯は神経を取ってしまう治療が一般的ですが、神経を失った歯は寿命が短くなります。いまは歯の神経を残す方法も開発されているので、なるべく歯の神経を残すような治療を行う歯医者さんのほうがよいです。

    ・難症例の場合はCTを活用して治療・説明してくれる

    難症例の場合にCTを使って根を確認しながら治療する歯医者さんは、手探りではなくきちんと治療してくれているといえます。さらに説明も行ってくれる歯医者さんなら、なおよいです。

    ・一回の治療時間を十分とってくれる歯医者さん

    歯医者さんは予め何分に一人という診療ペースを決めて予約をとっています。このペースが30分以上ある、つまり1時間に2人までしか予約を取らない歯医者さんなら、一回にきちんとした治療を行ってくれるといえるでしょう。

    ・最新の専門機器を備えている

    神経治療など、最新の機器を使うことで大幅に治療時間が短縮されるケースがあります。専門機器をいち早く導入している歯医者さんなら、時間内に密度の濃い治療をしてくれるといえます。

    3-2.自分に合った歯医者さんを選ぶには

    よい歯医者さんというのは、一概には決められません。なるべく早く治療を終わらせてくれる歯医者さんがいい人もいれば、長くゆっくり診てくれる歯医者さんがいい人もいます。よい歯医者さんは、その人ごとに違うものなのです。 実際に通い始めてからの転院は難しくなるので、評判を聞いたりサイトをチェックしたりして、自分に合ったよい歯医者さんをある程度見極めてから受診するようにします。

    基本的に一回の診療時間があまりに短く、回数ばかりかさむような歯医者さんは避けるほうがよいです。また、次のような歯医者さんなら、安心して通うことができるといえるでしょう。

    ・治療前の事前の説明に時間をかけてくれる

    ・こちらの要望もしっかり聞いてくれる

    ・院内や機器の衛星管理が行き届いている

    ・ブラッシング指導やフッ素塗布など、予防歯科に重点をおいている

    ・マイクロスコープや、ルーペ、ラバーダムなど精密な治療を行う機器・道具を備えている

    4.まとめ

    通院する側としては、何度も通わずにできるだけ少ない回数で治療を済ませたいと思うものですが、診療にはいろいろな制約があり、そうもいかない事情があるようです。中にはこちらの都合を聞いてなるべく少ない回数で治療してくれるところもありますので、諦めないで相談してみることをおすすめします。

    監修日:2016年08月25日
    野崎 康弘院長監修
    経歴・プロフィール

    経歴
    ・1990年 日本歯科大学 卒業
    ・1990年 歯科医師免許取得
    ・1990年~1995年 医療法人社団医恵会勤務
    ・1996年 医療法人社団 医康会 ジェイエムビル歯科医院 開設
    ・1999年 プラトンインプラント受講修了医
    ・1999年~2001年 社団法人台東区浅草歯科医師会公衆衛生理事
    ・2011年~2017年 公益社団法人浅草歯科医師会地域医療理事
    ・2011年~2017年 台東区在宅医療連携協議会委員
    ・2014年~2015年 日本歯科医師会生涯研修事業修了
    ・2016年 東京都医師会在宅リーダー研修修了
    ・2016年10月 東京都歯科医師認知症対応能力向上研修修了
    (厚生労働省制定)
    ・2017年~現 台東区介護認定審査委員

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    執筆者:歯科+編集部

    執筆者:歯科+編集部

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